「鴨川ホルモー」 感想 万城目学
鴨川ホルモーを読んだ。
本棚の中にずっとしまってあったのだが、この度読んでみようと思い立って読んでみた。
謎の競技にいそしむ大学生たちの話。「ホルモン」ではなく「ホルモー」。
小さい鬼たちを使役する戦いで、ホルモーに関しては虚構性の高いファンタジーというか伝奇モノなんだけど、物語の構成としてはテンプレなくらい王道。
主人公は女性の鼻に対するこだわりがあって、京大青竜会というサークルの新歓で会った早良京子の鼻に一目ぼれをする。
ホルモーのルールと小鬼たちの使役の仕方をならいはじめて実戦がはじまる。
それぞれ10人ずつのチームで一人あたり100匹の小鬼たちを使役して戦わせるというもの。対戦型ピクミンって感じ。
主要キャラ
500代目の京大青竜会のメンバーの中の5人(メンバーは全部で10人)
安倍晴明 主人公 二浪の末京都大学に入学 芦屋という男が気に入らない
高村 帰国子女の男 主人公の友達
楠木ふみ おかっぱ頭で黒縁眼鏡の愛想が悪い女の子 大木凡人に似ていると言われている
芦屋 一回生の中でホルモーが一番強い 仕切り屋の性格。
早良京子 綺麗な鼻をしていて、主人公に一目惚れされる。
タイトルにも使われている「ホルモー」というのはその競技名でもあるんだけど、それと同時に、試合の時の「降参しました」みたいな時に叫ぶ掛け声みたいなもので、負けそうになった時にはどうしても叫んでしまうものらしく、それをこらえる事はできないという。
そして、叫んだ人からは大切なものが失われる(でもなんとかなるらしい)。
主人公は新歓の時から早良京子に一年間ずっと片思いをし続けてたんだけど、実は彼女は一年のはじめの頃から芦屋と付き合っていることが発覚する。早良京子が芦屋に一目惚れをしたらしい。その二人が付き合っている事を知らなかったのはサークルの中でも主人公だけで、深い傷を負って、数日間引きこもってしまう。
この辺の流れはちょっと切なくてキツかったな。
そこからストーリーに新しい流れが出来て、ちゃんとカタルシスのある展開があって、最終的にはちゃんとした形で早良京子と芦屋に対する決別が出来て主人公に彼女が出来てハッピーエンド。
そして主人公が持っていた女性の「鼻」に対する拘りとは。
鼻とはなにか。鼻を音読みすれば「び」。つまりは美ということなんじゃないだろうか?
最後に出来た彼女も、鼻とか外見よりも彼女の気持ちとか健気さとかそういうものに触れた事によるものなんだよな。まあ、その子はイメチェンしたら可愛くなるんだけどね。
「ホルモー」で主人公の美に対する執着から離れることができたって事なのかと思った。