モブ・ノリオの介護入門を読んだ
中学の頃の学級文庫に「介護入門」がおいてあった。
その当時は、これが芥川賞をとった書物であるという事は知らなかったので、普通の介護の入門書だと思っていたし、読もうとも思っていなかった。
なぜ今、この本を読もうと思ったか。
この「介護入門」は2004年前期の芥川賞をとった作品で、その時、候補に挙がっていたのが舞城王太郎の「好き好き大好き超愛してる」だったのだが、そちらは受賞にはならなかった。
僕は舞城王太郎という作家が好きなので、彼がとれなかった時にとった作品が気になったのだ。
金髪のモブ・ノリオが、週三回家庭教師のバイトをしながら大麻をキメつつ要介護5のお祖母ちゃんを在宅介護するという作品。はじめにお祖母ちゃんとのツーショット写真が載っているので、実体験の話だという事は分かる。だけど、どこまで実話なのかは不明。この本の紹介で、「HIPHOPの文体」という説明があって、それはどういうものだろうかと思ったら、YO朋輩(ニガー)とかいうノリだった。
やる気のない訪問ヘルパーに対する不満や、血が繋がっているだけで実際には世話をしないくせに悲劇ぶる叔母に対する愚痴や、軽々しく「介護地獄」という言葉で人を煽る週刊誌などに対する怒りを爆発させながらも、彼の介護そのものに対する熱意はすさまじい。嫌嫌やっている訳ではなく、生きざまというかそれが唯一の生きるための杖みたいになっている。
文体とか、改行の少ない勢いのある文章という事では、舞城王太郎にも近いところがあると思った。実体験か物語かという事になってくるのだけど。実際、モブ・ノリオは会見の時に「どうも、舞城王太郎です」と挨拶したことがあるらしい。
ちなみにこの表紙の葉っぱは大麻らしい。
てか、犯罪じゃないのか?そのあたりは実話でもないのか?どの程度が作られてる部分なのかは分からない。